372万人の技能士の社会的地位向上と育成に取り組む!

(一社)全国技能士会連合会会長 大関東支夫さん(77歳)

 敗戦後いち早く復興できたのは優れた日本の物作りにありましたが、 現職の技能士は372万人と、 職人の減少は深刻。

 震災や台風等で復興予算はついたものの、 地元の大工職人等が足りず元の住宅に戻すには何年もかかる。 「技能士が足りない状況が続けば国土、国民すら守れなくなる」との危機感から マイスター制度を活用し、 後継者の技能伝承と育成、技能士の社会的地位向上に全カを注いでいる大関東支夫さんにお聞きしました。

 日本には衣食住工の約200職種の技能士がいます。 現職の技能士は372万人。そのうち全国技能士会加盟の会員は約10万人です。

 職人の現状について大関さんは「技能検定合格者は600万人以上いますが、 その職種に就いている人は372万人と少ない。 昔は弟子入りして10年ぐらい頑張れば、 親方が必要な道具を揃えてお店を出してくれました。 今はそれだけ面倒をみられる親方も少なくなり、 安い給与で辛抱できる若者もいません。 時々職人の巧みな技の作品に惚れ込んで弟子入リする若者もいますが、 極例外てす。 中でもとび職や大工、左官など建設業に携わる職人の減少には国も危機感を感じており、 育成してくれる親方や会社には一人月5〜10万円の育成資金を出すようになりました。

 この他、樽作りや桶作リ、京都の高瀬舟や仙台の和船づくリ、越前の竹細工職人など、絶滅の危機にある職種もあります。

 問題点としては、 技能検定等技能者認定は厚生労働省。 育成は個人親方や訓練校。 専門学校は文部科学省。 活用は国土交通省、経済産業省と縦割リ行政で一貫した政策ができていないことです」

マイスター制度で後進育成

 日本の技能の伝承と後進の育成を行うために平成15年度に『全技連マイスター制度』を創設。 マイスターに認定されるには20年以上の実務経験と優れた技能及び活動実績が必要です。 そのマイスターが全国各地で活動しています。

 「マイスターの匠の技を使ってメイドイン○○といった地域特性品を作ったり、 現地でなければ食べられないような地元料理を作れば、 人々は観光に訪れる。 技能士もその地域で生活できるわけです。

 私どもでは学校から要請があればマイスターを派遣して、 子ども達に木工制作や室内装飾体験などをしてもらいます。 物作リに興味を持ってくれる子供たちが出てくればいいな」と大関さんは期待します。

 厚生労働省は、 主要約70職種の技能向上を図るため『技能五輪全国大会』を今年は11月3日愛知県で開催。 同会でも日本一を決める『技能グランプリ』を2021年2月19日愛知県で開催します。

 大関さんは現在77歳。 東京オリンピック開催後には『技能五輪』を東京で開催予定。 老害、嫌老と言われないように気を付けて3年後80歳まで技能士の経済的地位と社会的地位向上のためにさらなる知恵を注いでいくそうです。

プロフィール
大関東支夫(おおぜき・としお)さん
元職:東京都労働経済局長、東京都総務局長、東京都競馬(株)代表取締役社長
現職:(一社)全国技能士会連合会会長、(一社)東京都技能士会連合会会長、全技連マイスター会会長、(一社)東京都交友会理事長、(公財)暴力団追放運動都民センター監事等
家族構成は奥様と娘一人、息子一人。血液型 AB型。
好きな言葉「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」
(平戸藩主:松浦静山の言葉)(元野球監督野村克也氏の座右の銘)